SUKOYAKA日記

メモ帳的存在。岡山在住。

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人間失格

太宰治の自伝的小説。言わずと知れた彼の代表作です。
若いうちにぜったい読むべきとか言われているので、ついに読んだ。
期待して読んだのだが、若いうちに読むべきだ!と胸張って言っている人の気持ちがあんまりわからなかった。それと、これは自分の感覚がおかしいのかもしれないが、言われているほど、暗いとも思わなかった。はじめの方は滑稽で、1ページ目の駅の歩道橋を、鉄道が用意した遊戯だとおもって遊んでいたというのには笑ってしまった。

印象に残った部分を書き出していく。(岩波文庫)

p14
つまり、自分は、いつの間にやら、一言も本当のことを言わない子になっていたのです。

p30
女は、男よりもさらに、道化には、くつろぐようでした。女は適度ということを知らず、いつまでもいつまでも、自分に道化を要求し、自分はその限りないアンコールに応じて、へとへとになるのでした。

p34
あまりに人間に恐怖している人達は、かえって、もっともっと、恐ろしい妖怪を確実にこの目で見たいと願望するに至る心理、神経質な、物におびえ易い人ほど、暴風雨のさらに強カランことを祈る心理、ああ、この一群の画家たちは人間という化け物に痛めつけられ、脅かされた揚句、ついに幻影を信じ、白昼の自然の中に、ありありと妖怪をみたのだ。しかし彼らはそれを道化などでごまかさず、見えたままの表現に努力したのだ。竹一の言うように「お化けの絵」を書いてしまったのだ。ここに将来の自分の、仲間がいる、と自分は涙が出たほど興奮し、
「僕も画くよ。お化けの絵を画くよ。地獄の馬を画くよ。」と、なぜだか、ひどく声をひそめて、竹一に言ったのでした。

p41
柏木が聞き手の思惑など無視して、そのいわゆる情熱の噴出するがままに、(あるいは、情熱とは、相手の立場をむしすることかもしれませんが)
【こういうユーモアが好き。】

p44
マルクス経済学の講義を受けました。しかし、自分には、それはわかりきっていることのように思われました。

p45
非合法。自分には、それがひそかに楽しかったのです。むしろ居心地がよかったのです。

p62
その夜、自分たちは、鎌倉の海に飛び込みました。女は、この帯はお店のお友達から借りている帯やカラ、と言って、帯をほどき畳んで岩の上に置き、自分もマントを脱ぎ、同じところに置いて、一緒に入水しました。
女のひとは、死にました。そうして、自分だけ助かりました。
【この描写の淡白さと心中相手だけが死んでいるというギャップがおかしかった。最近三島由紀夫の憂国をよんだ。その中で中尉とその妻が壮絶な自殺を図るのだが、同じ自殺の描写でもこれだけ違うかと彼らの違いをはっきりと感じた。】

p80
そのお汁粉を喜ぶ堀木によって、自分は都会人のつつましい本性、また、内と外をちゃんと区別して営んでいる東京の人の家庭の実態を見せつけられ、内も外もかわりなく、ただのべつ幕なしに人間の生活から逃げ回ってばかりいる薄馬鹿の自分一人だけ完全に取り残され、堀木にさえ見捨てられたような気配に、狼狽し、お汁粉の禿げた塗橋を扱いながら、たまらなくわびしい思いをしたということを、記しておきたいだけなのです。

p89
自分は、(世間とは個人じゃないか)という、思想めいたものを持つようになったのです。
そうして世間というものは、個人ではないだろうかと思い始めてから、自分は、今までより多少、自分の意思で動くことができるようになりました。

p90
すなわち荒っぽい大きな喜びをよけてさえいれば、自然また大きな悲しみもやってこないのだ。行く手ふさぐ邪魔な石をヒキガエルは回って通る。こんな詩句を見つけたとき、自分はひとりで顔を燃えるくらいに赤くしました。

p92
世間。どうやら自分にも、それがぼんやりわかりかけてきたような気がしていました。個人と個人の争いで、しかも、その場の争いで、しかも、その場で勝てばいいのだ。

p95
そんな仮説を「科学的事実」として教え込まれ、それを全く現実として受け取り、恐怖していた昨日までの自分をいとおしく思い、笑いたく思ったくらいに、自分は、世の中というものの実体を少しずつ知ってきたというわけなのでした。

p106
またもう一つ、これに似た遊戯を当時、自分ま発明してしまいました。それは、対義語のあてっこでした。黒のアントは白。けれども、白のアントは赤。赤のアントは、黒。

p108
「罪。罪のアントニムは、何だろう。これは、難しいぞ。
【罪の対義語、(徳)かなと思った。少し調べると功罪という言葉もあるように、功という場合も考えられる。どうなんだろう。】


p100
ヨシ子にもう酒は飲まないと約束する。しかし次の日の昼から葉蔵は酒を飲む。しかしよし子は「演技しないで」「約束したんだから飲むわけない」とかたくなに信じる。
洋蔵はよし子に惚れる。【それは不信をいつも抱いている彼が彼女の無垢な信頼心に憧れを抱いたからだろう。】


p
「とんだそら豆だ」 酒屋にレイプされるヨシ子。

p114
ヨシ子が汚されたという事よりも、ヨシ子の信頼が汚されたという事が、自分にとってそののち永く、生きておられないほどの苦悩の種になりました。自分のような、いやらしくおどおどして、ひとの顔いろばかり伺い、人を信じる能力が、ひび割れてしまっているものにとって、ヨシ子の無垢な信頼心は、それこそ青葉の滝のようにすがすがしく思われていたのです。それが一夜で、黄色い汚水に変ってしまいました。見よ、ヨシ子は、その夜から自分の一顰一笑にさえ気を遣うようになりました。
【この黄色い汚水という表現はすごいと思った。これ以上適切な表現は思いつかない。こういった言葉選びに作家の才能が現れていると思う。自分にはそんな才能はないのであこがれと同時にむなしさも感じる。】

p120
不幸。この世には、様々の不幸な人が、いや、不幸な人ばかり、と言っても過言ではないでしょうが、しかし、その人たちの不幸は、いわゆる世間に対して堂々と抗議ができ、また「世間」もその人たちの講義を容易に理解し同情します。しかし自分の不幸は、すべて自分の罪悪からなので、誰にも抗議の仕様がないし、また口ごもりながら一言でも抗議めいたことをいいかけると、ヒラメならずとも世間の人たち全部、よくもまあそんな口がきけたものだとあきれ返るに違いないし、?とにかく罪悪のかたまりらしいので、どこまでも自らどんどん不幸になるばかりで、ふさぎとめる具体策などないのです。

p127
それから黙って帯の間から注射器と使い残りのあの薬品を差し出しました。やはり、強制剤だとばかり思っていたのでしょうか。
「いや、もう要らない。」
実に、珍しいことでした。すすめられて、それを拒否したのは、自分のそれまでの生涯において、その時ただ一度、と言っても過言なくらいなのです。自分の不幸は、拒否の能力のない不幸でした。すすめられて拒否すると、相手の心にも自分の心にも、永遠に修復しえない白々しいひび割れができるような恐怖におびやかされているのでした。
p128
人間、失格。
もはや、自分は、完全に、人間でなくなりました。

p130

「これは、お前、カルモチンじゃない。ヘノモチン、という、」と言いかけてうふふふと笑ってしまいました。
【節子、それドロップやない。おはじきや。を思い出した。】


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