SUKOYAKA日記

メモ帳的存在。岡山在住。

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アルケミスト パウロコエーリョ

主人公は羊飼いの少年サンチャゴ。時代ははっきりとは記されていないが、錬金術で金を作ろうとしている人がいたり、ピストルを持っている人がいることなどから、ある程度推測できる。

この物語のサブタイトルは夢を旅した少年。その題とおり、少年は自分の夢に現れる啓示を信じて、旅をする。
この小説はたくさんの名言であふれている。それらは町であった王様、砂漠で会った錬金術師の言葉だったり、少年が気付いた言葉だったり、普通の町の人の言葉だったりする。

読んでいて、考えさせられるのは、やはり「夢」についてである。この小説の中ではいくつかの夢の形が示される。少年のように夢に向かって突き進むの者もいれば、あるクリスタル商人のように夢を夢のままそっとしておくことで、幸せを噛みしめているものもいる。どれが正しいかは、読んだ人がそれぞれ決めればいいと思う。

印象に残ったところを書き出していく。

p21,L9

彼にはいつも新しい友人ができたが、すべての時間を彼らとすごす必要はなかった。神学校にいた時そうであったように、同じ友人といつも一緒にいると、友人が自分の人生の一部となってしまう。すると、友人は彼を変えたいと思い始める。そして、彼が自分たちの望み通りの人にならないと、怒り出すのだ。誰もみな、他人がどのような人生を送るべきか、明確な答えを持っているのに、自分の人生については、何も考えを持っていないようだった。


p24

「世界最大のうそって何ですか?」と、すっかり驚いて、少年は聞いた。
「それはこうじゃ、人は人生のある時点で、自分に起ってくることをコントロールできなくなり、宿命によって人生を支配されてしまうということだ。それが世界最大のうそじゃよ」



p36 L5

「いつもそうなんだよ」と老人が言った。「それは幸運の原則と呼ばれているものだよ。誰でも初めてカードする時は、ほとんど確実に勝つものだ。初心者のつきだ。」
「どうしてそうなるのですか」
「お前の運命を実現させようという力が働くからだ。成功の美味で、お前の食欲を刺激するのさ。」


p41 L6

少年が町で会った自分を王様だと名乗る老人が語る挿話。

若者はある宮殿に行き、世界で一番賢い賢者を訪ねる。彼は幸福の秘密を賢者に教えてもらうため、旅をしていた。
部屋に入ると、賢者は少年に、油の入ったスプーンを渡し、それをこぼさずに宮殿を一周するように命じた。一周して帰ってくきて、「こぼさずに帰ってきました。」と少年は賢者に報告する。しかし賢者に宮殿はどのような様子だったかと尋ねられ、少年は油に集中していたため、答えられなかった。
次も宮殿の様子を観察するように命じられ、また油の注がれたスプーンを渡された。宮殿を一周して帰ってきた少年は、様子を事細かに語った。しかしスプーンの油はどこかに消え去っていた。

「たった一つだけ教えてあげよう」とその世界で一番賢い男は言った。「幸福の秘密とは、世界のすべての素晴らしさを味わい、しかもスプーンの油のことは忘れないことだよ。」

これが一番好き。


p105 L5

「どうしてピストルなんかを持っているの?」と彼は聞いた。
「人を信頼するのに役立つのさ」とイギリス人は答えた。



p122 L9

占い師は言う。

「人がわしに相談に来る時、わしは未来を読んでいるわけではない。未来を推測するだけだ。未来は神に属している。未来がわかっているのは神様だけだ。神様が未来を明らかにするのは、特別の事情がある場合だけだ。どうやって未来をするのかだって?それは現在あらわれている前兆をもとに見るのだ。秘密は現在に、ここにある。もしおまえが、現在によく注意していれば、お前は現在をもっと良くすることができる。そして、お前が現在を良くしさえすれば、将来起こってくることも良くなるのだ。未来のことなど忘れてしまいなさい。そして、神様は神の子を愛していると信頼して、毎日を神様にそって生きるがよい。毎日の中に永遠があるのだ。」



p154 L7

少年は自分の国の古いことわざを思い出した。それは、夜明けの直前に、最も暗い時間がくる、というものだった。

これも好き。


感想。

面白かった。オチも気持ちいいし、後味のいいハッピーエンドだった。
実のところ私はフィクションをあまり読まない。理由はきれいにまとめようとしてあからさまな予定調和があったり、非現実なことがあると、物語に入っていけなくなるからだ。この作品では非現実的なことが、最後のほうに連続して起こる。少年が風や太陽と語りだしたりしたところで、読者を置き去りに突っ走っていくが最後のヤマを作るには仕方なかったのかもしれない。
もうひとつ、これはたぶん私の責任だが、インチキ自己啓発の臭いがときどき鼻をついた。というのも、最近私はある自己啓発に友達に誘われ、無料体験に行った後、しつこく勧誘されてから、この類のものに敏感になっているからだ。
その過敏になった感覚を通して読むと、先ほどあげた名言達も、勧誘のうたい文句に聞こえてくる。例えば下の二つ。


「いつもそうなんだよ」と老人が言った。「それは幸運の原則と呼ばれているものだよ。誰でも初めてカードする時は、ほとんど確実に勝つものだ。初心者のつきだ。」
「どうしてそうなるのですか」
「お前の運命を実現させようという力が働くからだ。成功の美味で、お前の食欲を刺激するのさ。」


ビギナーズラックというものがある。これは誰もが経験したことのあることだろう。実際私も、マージャンを初めてしたときは大いに勝った。
しかし、それはビギナーズラックが常に存在するとは限らない。私は初めてのパチンコでは大金をスッたし、数回行った競馬では、一度もあたり馬券を出していない。つまりビギナーズラックとは、分母が大きいがためみんなが経験しているが、確立自体は一般と変わらず低いものなのだ。
しかしそのたまにあるビギナーズラックを「運命を実現させようとする力」とうたって、引き込んでいく。これが私にはインチキ自己啓発のように感じさせた。


少年は自分の国の古いことわざを思い出した。それは、夜明けの直前に、最も暗い時間がくる、というものだった。

これは、「祈りが叶わないのは、祈りが足りないからだ。」というパターンと似ている。どこまで祈ればよいかなど、だれにもわからないから、何を言っても通用する。
上の引用は、ゴールは目の前だから、今が辛くても頑張れ!って事だけど、ゴールまでの期間・距離は教えてくれない。それが明日かも、一年後かも、もしくは一生こないかもしれないが、「いつか」という言葉でだまし続ける。


こういうことに敏感になると、ネガティブな部分がどんどん大きくなってく。
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