SUKOYAKA日記

メモ帳的存在。岡山在住。

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抜歯と幻歯

医者はペンチで奥歯をつかみ、グイッグイッと左右に引っ張る。その顔には笑顔が浮かんでいた・・・。

親知らずの抜歯だった。左奥に上下二本生えていた。診察台に案内され、医者は麻酔数発を歯茎に打った。そのうちいくつかはとても痛くて、掌に爪を立てて我慢した。
麻酔が効くまでの間、助手とマンツーマンでブラッシングのチェックが行われた。親知らずの抜歯ということで、不安はもちろんあったが、実はテンションが上がっていた。なぜなら助手の人がいつものおばちゃんではなくて、若くてきれいな人だったからだ。色が白く、目がぱっちりとしていて、マスクをとっても美人だろうと予想できた。助手は私の右隣に立っていて、肩をすこしずらせば、胸が当たる距離だった。もちろん動しはしなかったが、それとは別に、わざと口を左側に向けるというささやかな努力をしていた。そうすれば、助手は私に覆いかぶさるようにしなければならないので、自ずと胸が近づく。だが努力の甲斐なく、服があたっているも胸の感触は無かった。残念だったが、これ以上は不自然だったのであきらめた。
医者が戻ってきた。手にはペンチ、キリやトンカチなど物騒な金属製の器具を持っていた。こいつは患者を怖がらせるのが趣味なのか・・・。
「痛かったら、手を挙げてください。」というお決まりのセリフを告げられる。今回は間違えば失神ものなので、すでに手を挙げる準備をしていた。左下の奥歯が15センチくらいのペンチで掴まれる。グイッと少し引っ張ったところで、痛みが走り、すぐ手を挙げた。我慢できる痛みだったが、これ以上の痛みが待っているのは分かっていたので、手を挙げた。もう一度麻酔注射をしてもらったが、まだ痛む。これを数回繰り返したが、ダメだったので、まずは上の歯を抜くことになった。
上の歯を掴むと、痛みは無く、振動だけが伝わってきた。
「痛みはないですか?」と尋ねれらて、軽くうなずく。医者はその答えを聞き、ペンチを握る手に力を入れ、歯を左右に動かした。ギリギリという固い音の後に、ミシミシミシ・・という音が聞こえた。強度のある糸が無理矢理ちぎられているような音。神経かな、と考えているうちに抜き終わっていた。
次はようやく下の歯だ。ペンチで掴み、少し引っ張られる。しかしまだ麻酔が効いておらず、もう一度注射することになった。もう一度、先生は歯を掴み、少し引っ張る。痛みが走ったので、手を上げた。しかし医者は「痛いですか」と念を押してきた。早く抜きたいようだ。頭を縦に小刻みに動かした。痛いです、と。しかし、医者はもう一度確かめるように、ペンチで歯を引っ張りながら左右に少し動かした。
「痛いって言ってるじゃん!」という気持ちで、上げていた手を素早く上下に動かした。医者はペンチを離し、もう一度注射が打った。もう5回以上打ったのではないか。次にペンチで掴まれた時は、痛みは無かった。
医者は歯を引っ張りながら、左右に引っ張る。さっきと同じミシミシという何かがちぎれる音が聞こえた。下の歯はしぶとく、時間がかかった。
「粉砕しながら、抜いていきますね」と言われて、何も分からないまま、任せますという気持ちでうなずいた。医者はペンチから、キリとハンマーに持ち替え、歯の下部分を、斜め上からガツンッガツンッと突いてきた。痛みは無かったが、間違って歯ぐきをついてしまわないか心配だった。もし歯ぐきのほうを突けば、貫通してもおかしくない勢いだった。一発打たれるたびに、キリが歯ぐきを貫き、顎から突きぬけるイメージが浮かび、眉をひそめた。
「大丈夫ですか」とこの診療で初めて心配された。よっぽどの顔をしていたのだろう。
粉砕が終わり、作業は終わりに近づいていた。
医者は歯をペンチで掴み、左右に大きく振る。そのせいで、私の頭はぐらんぐらんと揺れた。自分でも滑稽だったので、照れ隠しに笑った。すると医者もそれを受けて笑った。物騒なペンチを口の中に突っ込みながら笑い合っている。端から見たら、間違いなく異常な光景だ・・・。

結局無事に歯は抜け、診療は終わった。

帰った後が辛かった。麻酔が切れてくるからだ。歯医者でもらった痛み止めを飲んだが、痛みは強くなるばかりなので、歯痛に効く薬を買った。余談だけど、その薬局に入った新人の女の子がものすごくタイプだ。

夜ベッドに入ると、歯を抜いたところがジンジンと疼いている。痛いわけではなかったが、不思議な感じだった。なぜか診療の時のペンチで引っ張られている感覚があるのだ。歯がまだあるような感覚で、その歯がペンチで左右上下に引っ張られている感覚。周りの歯茎にペンチが触れる感覚までも再生されている。
しかし、腕をつねったりして、歯以外の部分に集中するとその感覚は薄れた。そしてまた歯に集中すると、またペンチの感覚が再生される。面白いな、幻肢じゃなくて幻歯か・・などと思っているうちに眠りについていた。
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