SUKOYAKA日記

メモ帳的存在。岡山在住。

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金閣寺 三島由紀夫

言うまでもなく日本文学の傑作である。しかし恥ずかしながら今まで読んだことがなかった。しかし今は,坊主が結局金閣燃やしちゃう話でしょ、読む必要なんてないよ。と思っていた以前の私を、ぶん殴ってやりたいぐらいの気持ちだ。おもしろかった。

印象に残った部分を書き出していく。

p43
金閣と言う半ば永遠の存在と、空襲の災禍とは、私の中でそれぞれ無縁のものでしかなかった。?・・・・しかし、やがて金閣は、空襲の日に焼き滅ぼされるかもしれぬ。このままいけば、菌核が灰になることは確実なのだ。

p47
それから終戦までの一年間が、私が金閣と最も親しみ、その安否を気遣い、その美におぼれた時期である。どちらかといえば、金閣を私と同じ高さにまで引き下げ、そういう仮定の下に、恐れげもなく金閣を愛することのできた時期である。私はまだ金閣から、あしき影響あるいはその毒を受けていなかった。
?美と私を結ぶ媒立が見つかったのだ。
p49
私はただ災禍を、大破局を、人間的規模を絶した悲劇を、人間も物質も、醜いものも美しいものも、押し並べて同一の条件下に押しつぶしてしまう巨大な天の圧搾機のようなものを夢見ていた。

p57
これが私の悪い性格だ。一つの正直な感情を、いろんな理由づけで正当化しているうちはいいが、時には、自分の頭脳の生み出した無数の理由が、自分でも思いがけない感情を私に強いるようになる。その感情は本来私のものではないのである。

p65「南泉斬猫」
山寺に一匹の子猫が現れた。僧たちは自分のペットにしようと争った。それを見ていた和尚は「大衆?なんちゃら」といい、衆の答えはなかった。南線和尚は子猫を切って捨てた。高弟の趙州が帰ってきて、事の次第を聞いた。すると彼はたちまち、はいていた履を脱いで頭の上にのせて出て行った。

南泉和尚が猫を切ったのは、自我の迷妄を断ち、妄念妄想の根源を断ちきった。これを殺人刀という。趙州は、泥にまみれ、人にさげすまれる履というものを、限りない寛容によって頭上にいただき、菩薩道を実践したのである。

p77
日本人娼婦を連れたアメリカ兵が金閣寺見学に来る。二人は「私」の前で言い争いを始め、アメリカ兵は娼婦を押し倒す。そして私に踏め。と命令する。私は抵抗できず、踏む。1度目は抵抗を覚えたが、2度目からは喜びを感じた。アメリカ兵からは煙草を2カートンもらい、彼らが去ったあとも、興奮は続いていた。
p82
数日後娼婦は寺を訪れ、ある僧に踏まれ、その末流産したことを伝えにきた。そして金を渡さなければ、僧の非道を世間にばらすと和尚を脅した。和尚は金を渡し、女を帰らせた。和尚は私にはこのことがあったことを伝えぬようほかの者には伝えた。
鶴川はその夜私に「本当に君はそんなことをやったのか」と聞いてきた。
しかしその鶴川の行為は私の期待していたものではなかった。鶴川は私の陽画であり。何も聞かずに私の暗い感情をそっくりそのまま、明るい感情に翻訳すべきであった。もしその役割を果たしてくれれば、私は友に真実を泣きながら懺悔したかもしれない。しかしともには嘘をついた。

p116
「優雅の墓というものはみすぼらしいもんだね」と柏木が言った。「力の持つもには立派な墓を残す。彼らは想像力を持っていなかったから、墓もおのずから想像力の余地のないようなやつが建っちまうんだ。しかし優雅のほうは自他の想像力だけに頼って生きていたから、墓もこんな、想像力を旗あかすより仕方ないものが残っちまうんだ。このほうが俺はみじめだと思うね。死後も人の想像力に物乞いをし続けなくちゃならんのだから

p191
おしなべて生あるものは、金閣のように厳密な一回性を持っていなかった。人間は自然のもろもろの属性の一部を受け持ち、かけがえのきく方法でそれを伝播し、繁殖するにすぎなかった。殺人が対象の一回性を滅ぼすためならば、殺人とは永遠の誤算である。私はそう考えた。そのようにして金閣の笛の美しさから、かえって滅びの可能性が漂ってきた。人間の様にモータルなものは根絶することはっできないのだ。そして金買うのように不滅なものは消滅させることができるのだ。どうしてそこに気がつかぬのだろう。
p212
「世界を変貌させるのは決して認識なんかじゃない」と思わず私は、告白とすれすれの危険を冒しながらいい返した。「世界を変貌させるのは行為なんだ。それだけしかない。」
南泉的


感想
「私」の金閣に対する感情の変化がおもしろかった。しかし完全に理解できていないように思えるので、またの機会に改めて読みたい。戦争によって絶対美である金閣と自分のいる条件が同じになり、私は空襲で金閣が焼け落ちるのを夢見る。その妄想は彼のコンプレックスに対する癒しの役割を担っていたのだろう。
【「丸山眞男」をひっぱたきたい 31歳フリーター。希望は、戦争。】
という論文が以前話題になった。筆者はいわゆる派遣労働者で、今の格差社会を嘆いている。このショッキングな題名はマルクス主義者であった丸山眞男の力が弱かったため、こんな格差社会になってしまった。という意味ではない(たぶん)。筆者は、戦争によりみんなが平等に、エリートだった丸山眞男が徴兵されて、戦地で小卒の一等兵にいじめ抜かれひっぱたかれたくらい世の中が平等になることでしか、今解決策はないと嘆く。
金閣寺をよんでいて、ふと、この論文を思い出した。フリーターと醜い僧。金閣を燃やすという行為と戦争に対する期待。論文で筆者はまだ認識にとどまってはいるものの、 他の誰かが行為に及ばないという保証はできない。

書き出したのが前半に偏っているのは理解が及ばなかったから。また、風景描写は知らない単語ばかりで、ほとんど飛ばし読みをした。
たしかにおもしろかった。しかし私が感じている「おもしろさ」は金閣寺本来のおもしろさなのかどうかわからない。金閣寺という有名な作品、難解な日本語で構成されている作品を理解した。という単なる、難問を解いたときの達成感または虚栄心のような気がしてならない。

こんどまた時間がある時に、辞書片手にしっかり読んでみようと思う。
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